誰にも渡したくない。

そう、思った。

決して、無視したわけじゃない。

君の幸せを思ってのこと。

けれど、今は自分が愚かだと気付いた。

君を手放しては、いけなかった。

守るため・・・

君に恋人が出来るまで・・・

そんなふうに思っていたけれど、本当は僕が君を必要としていた。

カッコ悪いけど・・・

カッコ悪いけど、君をこの世の誰よりも愛している。

やっと、気付いたんだ。

だから、君に伝わって欲しい。

この世の誰よりも君を愛していることを。

だから、君を大切にしないヤツには絶対に渡さない。

愛を込めて。

悟りへの道は心の集中と戒律から始まる。

いや、ちがうね。

人々は不謹慎だと言うのかもしれない、でも、ちがう。

何も集中せずに、戒律からも囚われてはいけない。

悟りを体験するんだ。

悟りを知識で知るのではない。

悟りを体験して、戒律は便宜上作られた概念に過ぎないと知る。

だから、それを安易に否定しないんだ。

私達は赦されている。

見捨てたのではない。

違う。

そうするように指示したんだ。

弟子達と人々への思いやりと優しさがそうさせた。

その深い思いやりを私達は長い間、裏切りと呼んできた。

そうじゃない。

何故、彼は逃げなかったのだろう？

何故、彼は痛みに耐えようとしたのだろう？

何故、彼は打ちのめす相手を赦したのだろう？

私は思う、何故、この世の人達はそんな単純なことに気が付かないんだろうと。

そんな、純粋な人が弟子を見殺しにするだろうか？

また、見殺しにされることを裏切りを呼ぶのだろうか？

違う。

信じられないような深い愛は今も共にある。

神よ、

私に赦しを行わせてください。

私を。

そして、私に。

私を赦しの道具にしてください。

人々の灯りに。

道標に。

私の思う、のではなく、御心のままに。

赦しを与える山彦にしてください。

貴方の愛のままに。

計り知れない意思のままに。

全ての人に。

愛を。

私を罵り、打ち、軽蔑し、唾を吐く人々に愛を。

私と貴方と神の間に隔たりが無いことを知らせてください。